いつも柳の下にどじょうはいません

eueno_chosen1s岡山に生まれ大阪で木彫の手ほどきを受けた平櫛田中は、明治31年(1898年)に上京してから、長安寺で下宿をしていました。旧平櫛田中邸はそこから10分の所にあります。上京してまもなく、田中自作の観音像が70円で売れました。現在の物価だと30万円近くになるので、臨時収入としてかなりの大金だったことでしょう。それから、別の作品がある展覧会で買い上げとなり、上京してから立て続けに作品が売れた田中は「東京って、なんて素晴らしいところなのだろう!」と感激しました。しかし、その後はまったく作品が売れず、しばらくの間酷い貧乏暮らしを体験することとなります。のちに田中は当時を振り返りこう書いています。「いつも柳の下にどじょうはいません」

(写真:台東区の長泉寺)