2012年度は「木はっち」と呼ばれる拠点を中心に、アート活動の企画や実施に関するの相談を受ける場を開設するとともに、本プロジェクトの参加者が集い情報共有を行う恒常的な活動拠点として展開しました。
1.《アートよろず相談》
「アートよろず相談」では、必ずしも「相談」に対する具体的な提案や対処がなされるわけではなく、話を聞く対象、表現を期待する対象としての管理人が存在することにより、訪れた本人が個人的な表現意欲と社会との接点を見つけたり、折り合いをつけたりする場となっています。
その内容はアートにまつわる企画の相談をはじめ、それ以外にも、進路や対人関係に関わることなど身近な表現にまつわる相談も少なくありません。
■相談内容の事例
◯自己の表現欲求と社会との接点に関する相談
美術系大学を卒業後、生活雑貨をデザインする企業に就職した女性からの相談。
◯デザイナーとしての独立に関する相談
デザイン会社勤務の経験を活かし、デザイナーとして独立を考えている女性からの相談。
◯企画者からの相談
アートとまちあるきを題材に、学生や社会人を対象とした田中邸での自主企画に関する相談。
後に企画が実現し、谷中のおかってとしても当日協力として関わりました。
◯まちのお祭りに関する相談
平成23年度のきむらとしろうじんじんによる「野点」のまちの協力者であり、「野点」以降も「ぐるぐるミックス」のゲストやスタッフとし ても関係が続いている人物からの相談。
相談内容はこども向けの商店街の夏祭りにおけるオープニングパフォーマンスに関するものでした。谷中のおかってメンバーや芸術っ子がパフォーマーとして参加協力することとなり盛り上がりをみせました。
◯作品展示に関する相談
若手女性彫刻家2人からの展示に関する相談。平成25年度に展覧会を実施することとなりました。
2.《月曜私塾》
「アートとは何か、何のためにあるのか」を基本的なテーマに据え、毎回参加するメンバーの関心や、派生するテーマに絡めながら研究/ディスカッションする勉強会です。
■主な取り組みとテーマとなった議題
◯ダムタイプの活動と「アート」の力について
アーティストのアキラ・ザ・ハスラー氏を招きいれ、90年代はじめより京都を拠点に展開された、アーティストグループ「ダムタイプ」。エイズ啓蒙活動、ゲイコミュニティーなどを起点とし、ジェンダーやセクシュアリティー、またエイズを取り巻くさまざまな問題の話から、「差別」や 「ボーダー(境)」、あるいはそれらをつくり出している社会的、文化的背景を見つめました。社会の 習慣を越境、また変えてい こうとするとき「アート」はどんな力になり得るかを検証しました。
◯「アート」がないと生きていけない
近年、「参加型アートプロジェクト」や「ワークショップ」と呼ばれる活動が普及しています。一つの作品に対して鑑賞者がいる近代的な関係とは別に「アート」の味わい方、あるいは需要が芽生えているのではないかという仮説のもと、今日展開されるさまざまな活動を参加者の経験談から検証しました。
◯「アートプロジェクト」の今日とこれから
「アートプロジェクト」と呼ばれる活動の発生を歴史的に遡り、近・現代のアートを取り巻く環境、社会、文化背景を解析しながら、「アート」が今日的意義をもつとしたら何かを検証しました。
◯話しがつづかない若者~共通の経験、美的経験~
はじめは参加者がお互いの経験から「話がつづかない体験」また「どうして、そうなのか」についてディスカッションをし、そこであがって きたエピソードを「余裕のなさ」、「便利」、「欲望の減少」など身近なキーワードに起こし、「若者」に限らない今の社会が抱えるさまざ まな問題とのつながりから考えました。
◯住み方・シェアハウス・家
谷中地域のシェアハウスに住む社会人で他企画に参加したことによりつながりができた方を招きました。「家族」という制度の外に暮らしのあり方を求め、個人のつながりを大切にし、新しい生活環境を創造する活動の動向を見つめ、「なぜ・どんなふうにして」それらの活動やニ ーズが生まれてきたのかについて、歴史、文化、社会の背景と参加者の率直な実感を交えて検証しました。