2013年度

◎こども創作教室「ぐるぐるミックス」
こどもとアーティストとまちの大人が谷中を舞台に、暮らしのそばから「あそび」をうみだす創作教室です。若き表現者がまちの大人との魅力的な出会いを創出し、三者が一体となった創作活動や、まちなかでの体験活動をファシリテートします。ゲストの興味や仕事の現場などから創作の鍵となる要素(さまざまな知識や技術)および魅力的な瞬間を引き出し、こどもたちの創作活動へとつながるプログラムを考案、実施する。
3年目となった平成25年度は、運営コーディネーターや若き表現者が、アーティストきむらとしろうじんじんの助言のもと、こどもやまちとの関係づくりや、創作活動をおこなう上でのポイントを学びながら、恊働でプログラムを作成・実施することに重点を置きました。また、社会に根ざす活動となることを目指し、企画運営の向上を図るほか、新たなファシリテーターとなる人材育成や事業案内パンフレットの作成に取り組みました。

◇実施概要
実施日:1クール 5月11日、5月18日、5月25日
2クール 6月29日、7月13日、7月27日
3クール 9月7日、9月14日、9月21日
4クール 10月26日、11月9日、11月24日
5クール 1月11日、1月18日、2月1日
6クール 2月22日、3月1日、3月8日
(※3回を1クールとし、隔月で全6クール(全18回)実施)
14:30 ~ 17:00
会場:台東初音幼稚園内 1階教室
対象:4歳児(年中)~5歳児(年長) 参加者数:30名 [内訳:初音幼稚園園児11名/他施設所属園児19名](定員30名) 年会費:24,000 円+材料費 5,000 円
協力:台東初音幼稚園
運営体制:運営コーディネーター:小西斐子、木下柚奈
ファシリテーター:大西健太郎、豊永恭子、大井麻記子、湯原康仁(見習い)
[新規ファシリテーター2名(大井、湯原)]
アドバイザー:きむらとしろうじんじん
当日スタッフ:前年度からの継続スタッフ7名、新規スタッフ13名

 

◎アーカイブプロジェクト
平成22年度から4年間にわたって行ってきた《ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト》の活動について、関係者へのインタビューやトークイベントを行いながら振り返ります。また、振り返りの総まとめとして、ぐるヤミの活動を第三者に向けて発信できる記録冊子を作成しました。
◇実施概要
実施期間:平成25年4月1日~平成26年3月31日 プロジェクトメンバー:富塚絵美、中島裕美、黒川岳、佐藤慎也、小林英治、猿田詠子、大原慎也

① 4年間の活動の振り返りと検証
過去4年間のぐるぐるヤ→ミ→プロジェクトの活動を振り返る。ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクトの中心となって活動して来たメンバーをはじめ、さまざまな人と集まる場をもって「ぐるヤミとは何か」「ぐるヤミに何が起こったか」「今後のぐるヤミの展望」等について検討、言語化した。
実施期間:平成25年4月1日~平成26年3月31日

■記録冊子の編集会議
基本的に記録冊子の作成を念頭に置いて会議を行った。会議の出席者は回ごとに新たなゲストを迎えることもあった。参加者の顔ぶれによって記録冊子の方向性以外にも「アーカイブとは何か」「ぐるヤミの活動は何だったか」といった内容を話し合う回もあり、編集会議の場自体がぐるヤミの活動自体について言語化する場になった。
参加者:富塚絵美、中島裕美、黒川岳、渡邉梨恵子、小林英治、佐藤慎也、猿田詠子、大西健太郎、田尻由佳、木方幹人、山田雄大、笠原由宇、高橋大樹など
ゲストと会議にのぼった話題の例
◆ 佐藤慎也
富塚やその他の参加者の声を聞き出してもらいながら、具体的なアーカイブの手法を過去の事例や他のアートプロジェクトと比較しながら考えていった。「何を残せば《ぐるヤミ》を記録したことになるのか」という話も持ち出され、今までの活動をより客観的に考えてみる機会となった。
◆ 木方幹人
編集メンバーが抱える記録冊子の方向性、記録の手法などに関する疑問から話を広げ、「そもそもなぜアートのアーカイブが必要なのか」「アートとは何か」といったテーマを提示してもらいながら話し合った。また、過去の芸術活動の記録冊子を参考に見せてもらい、それをもとに方向性を考えてみるなど具体的に作業を考える機会にもなった。
◆ 高橋大樹
編集メンバーが「ぐるヤミとは何か」を文章や絵なども使いながら説明した上で、それを本としてまとめる場合はどのようにすると良いのか、アートとの関わりの浅い人に見てもらうにはどうすると良いか等をライターの視点で語ってもらった。一般的な本の流通の視点から「ぐるヤミの記録冊子」を捉えてみてると、自己啓発本や哲学書と似ている部分があるのではないかという指摘を得ることができた。それらに対して逆に誤解を生まないよう差異化を図ろうという姿勢も生まれた。

■トークイベント
これまでのぐるヤミの活動と関係の深い人物を招いてトークイベントを開催し、ぐるヤミに対する外からの視点と内側からの視点を交え、これまでの活動を振り返った。
◆ 第1回「きむらとしろうじんじんを招いて」
「野点」や「ぐるぐるミックス」などでぐるヤミとの関係が深いアーティスト、きむらとしろうじ んじんを招き、「きむらとぐるヤミの関わり」「きむらから見たぐるヤミ」をテーマに話を伺った。 ぐるヤミの活動を続ける中でメンバーが個人的に感じる疑問や違和感などを話したり、「谷中妄想 ツァー !!」や「ぐるぐるミックス」など具体的な企画の話をしながら、きむらがそれらに対して自らの体験をもとに考えを述べる形で行われた。まちとの関わり方やアートマネジメントのあり方、表現の提示の方法などについての問題意識が共有され、今後のぐるヤミの活動の方向性についても考えさせられる場となった。
日時:平成25年6月24日 20:00 ~ 21:30
会場:木方邸
ゲスト:きむらとしろうじんじん 参加者:きむらとしろうじんじん(招聘アーティスト)、木方幹人(過去プログラム「月曜私塾」 講師)、富塚絵美(谷中のおかって)、渡邉梨恵子(谷中のおかって)、田尻由佳(谷中のおかって)、 大西健太郎(谷中のおかって)、黒川岳(谷中のおかって)、中島裕美(ライター)、坂本有理(東京アートポイント計画)、三田真由美(東京アートポイント計画)、 キムジヨン(「ぐるぐるミックス」ボランティア) 11名
◆ 第 2 回「妄想カフェメンバー」
平成23年度、24年度に開催したプログラム「谷中妄想カフェ~ちょうちんもってちょっとそこまで~」に関わったボランティアスタッフが集まり、本番を振り返りながら参加者それぞれの視点で語り合った。 ボランティアの参加者が担当したパフォーマーやナビゲーターといった役割は、振る舞い方やパ フォーマンスの内容が担当者個々人に任せられる部分が多く、お互いがどのように振る舞っていたのか知らない部分が多かった。そのため、トークはそれぞれがどのように振る舞っていたのかを紹介し合うところから始まり、妄想カフェの新たな一面を垣間見ることができた。また、機会さえあればぜひまたイベントを実施したいという声が多くあがり、トークの後半は実際にまた実施するとしたらどのような開催方法が適当かを話し合った。 開催当時はボランティアスタッフの声を聞く場を設けることがあまり無かったため、ボランティアスタッフの妄想カフェに対する考えを共有する良い機会となった。また、ボランティアスタッフの妄想カフェ再開への想いが強く感じられ、これについては今後のぐるヤミの活動を考える際に考えるべき点だと思われる。
日時:平成25年9月16日
会場:旧平櫛田中邸 参加者:富塚絵美、渡邉梨恵子、田尻由佳、大西健太郎、黒川岳、前田菜々美、笠原由宇(谷中のおかって)、中島裕美、小倉孝俊(ボランティア)、 野田俊行(ボランティア)、野中浩一(ボランティア)、大道くらら(ボランティア)、 徳本彩花(ボランティア) 13名

■ぐるヤミメンバーへのインタビュー、中島による観察日記
昨年度からぐるヤミに参加している中島が各関係者にインタビューを行った。また、それと並行して、昨年度作成したぐるヤミの「観察日記」を見直し、日々の活動や本番の雰囲気、空気感であったかという視点で整理し直した。ぐるヤミのメンバー自身が自覚していない部分を第三者によって言語化し、出来上がった文章を読む事で自分たちの活動を振り返る機会となった。
◆ インタビュー対象:富塚絵美(ぐるヤミ事務局)、渡邉梨恵子(ぐるヤミ事務局)、大西健太郎(ぐるヤミ事務局)、 荒堀敬子(ぐるヤミ事務局補佐)、山田雄大(ぐるヤミ事務局補佐) 5名
◆ 観察日記
文章:中島裕美
各回タイトル:
第1回「ちょりさんと出会う」
第2回「謎と向き合う」
第3回「行ってみたら何もやってない」
第4回「何が起きているのか」
第5回「木はっちへいらっしゃい」
第6回「真剣な話し合いの風景」
第7回「遊びと暇人愛」
第8回「じんじんといふひとありなむ」
第9回「ミックス !」
第10回「鉛筆で描くぬか漬け」
■メンバー間での情報共有資料作成
記録作業を進めていく中で浮き彫りになってきたぐるヤミの様相をメンバー間で共有し、さらには今後新たに一緒に活動する人が現れた際に説明できるよう、まとまった形に整理した。
情報共有資料の例
◆ ぐるヤミ語録
過去の活動のなかで生まれた造語や独自の解釈で用いている既成用語を項目ごとにまとめ、それぞれの用語解説を作成した。
◆ 企画レシピ
過去に実施した企画を料理のレシピのイメージでまとめたもの。企画ごとに、概要から企画それぞれの醍醐味、さらに準備から実施までの流れを概観できるように整理した。

② 活動記録冊子『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト 2010 〜 2013』の作成
約一年間にわたる振り返り作業によって集まった素材を中心に収集・編集して、4年分の活動をまとめた記録冊子を作成した。「ぐるヤミの文化とは」という概念的な部分、企画を具体的に振り返る部分を合わせ《ぐるヤミ》の築き上げてきた空気感を冊子として表現することを目的としている。
■概要
名称:『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト 2010 ~ 2013』
期間:平成25年4月1日~平成26年3月31日 ( 素材収集・編集会議期間含む )
冊子完成:平成26年3月
部数:1,000 部
編集メンバー
監修:富塚絵美(一般社団法人谷中のおかって)森司、坂本有理(東京アートポイント計画)
編集・制作:小林英治、猿田詠子、中島裕美、一般社団法人谷中のおかって(富塚絵美、渡邉梨恵子、黒川岳)
制作協力:佐藤慎也
デザイン:大原慎也
対象:過去のぐるぐるヤ→ミ→プロジェクトスタッフ、出演者、谷中地域の住民等

内容
はじめに
「ぐるヤミ」とは?
・ 「文化創造拠点」をつくる
・ 「ぐるヤミ」のルール
・ 「ぐるヤミ」の運動
・ 「ぐるヤミ」がつくり出すもの
・ 「ぐるヤミ」の 3 つの柱
企画とレシピ
・「ぐるヤミ」の胎動
・「ぐるヤミ」に現れた 6 つのカタチ
・「ぐるヤミ」から派生した出来事
記録
・フォトアルバム
・「ぐるヤミ」の周辺
・「ぐるヤミ」の歩みとこれから
・活動記録
・ぐるヤミ辞典
・ぐるヤミ観察日記 など